遺産の分割
司法書士あおい事務所 大森亮一司法書士 028-306-0849
① 遺産を分割するとはどういうことでしょうか?
遺産分割とは、被相続人が遺言書を残さずに亡くなった場合に、一旦は相続人全員の共有財産となった相続財産を、相続人全員の話し合いによって具体的に各相続人へ分配することを言います。相続税の申告期限とは異なり、遺産分割の時期について期限はありません。
共有状態のまま相続財産を相続することも可能ですが、相続財産が不動産の場合には、具体的に分けることが難しく後々トラブルの原因になることもありますので注意が必要です。
② 分割はどのような手続きで行いますか?
相続財産の分け方を相続人全員で話し合う遺産分割協議を行い相続財産を分割します。遺産分割協議とは、相続が発生した際、被相続人が作成した遺言書がない場合に、相続人全員で行う相続財産の分け方の話し合いを指します。相続人全員の話し合いで相続財産の分割方法や、誰が何を相続するのか決めることができます。
③ 遺産分割協議における分割方法とは?(3種類の分割方法)
1.現物分割
「自宅の土地建物は長男が相続し、自動車は長女が相続する。」等、相続財産そのものをそのまま分ける方法です。
2.換価分割
相続財産を売却し、金銭に変えて分割する方法です。現物分割では難しい各相続人の法定相続分を正確に分割したい場合に便利な方法です。
3.代償分割
「自宅の土地建物は長男が取得する代わりに、長男は長女に500万円支払う。」等、相続分以上の相続財産を取得する代わりに、他の相続人に自己の財産を交付する分割方法です。
④ 遺産分割の手順はどのようなものですか?
1.遺言書の有無の確認を行う。
遺言書がある場合、遺産分割協議を行わずに相続手続きを進めることができます。
2.相続財産の確認
プラスもマイナスも含めた相続財産の全てを確認する必要があります。金融資産に関しては、銀行等で残高証明書を取得したり、不動産に関しては市役所の評価証明書等で相続財産を確認します。
3.相続人の確定
遺産分割の際に誰がどの相続財産を相続するかは、相続人の全員の同意で決定する必要があります。そのため、市役所で相続人の確定ができる範囲の戸籍を収集し、相続人の確定をする必要があります。
4.遺産分割協議を行う
相続人全員で、相続財産をどのように分割するかの話し合いを行います。相続人全員が集まって話し合いをするのが難しい場合は、書面でのやり取り等でも可能です。
5.話し合った内容を元に遺産分割協議書を作成する
相続人同士で話し合った内容を記載した遺産分割協議書を作成し、後々のトラブルを防ぐために保管しておきます。
6.遺産分割協議書・戸籍謄本等を使い相続財産の換金、名義変更を行う
相続財産に不動産がある場合は、法務局で相続による名義変更を行い、預貯金等がある場合には各金融機関で解約などの手続きを行います。
⑤ 分割した遺産はいつから各相続人の財産になるのですか?
遺産分割の効力は、相続開始の時点に遡って発生します。つまり、遺産分割協議書が作成された日からではなく、被相続人が亡くなった時まで遡って効力が発生するということです。
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